
文芸書シーンに突如巻き起こった新しい旋風に、各界から絶賛のコメントが届いた!
現在、世間を震撼かつ驚愕させているノンストップ・クロスジャンル小説「クリムゾン・ルーム」。読み出したら止まらなくなる睡眠不足の恐怖に陥った人々が、業界にも数多く存在するようだ。
ここでは、ミステリ評論家、作家、書評家、有名ブロガー、書店の名物店長さん達のコメントを随時UPしていきます。
香山二三郎(かやま ふみろう / コラムニスト)
1955年、栃木県生まれ。コラムニスト。内外のミステリ小説の書評を中心に執筆。「小説推理」(双葉社)の日本ミステリーレビューはもうすぐ26年目に突入。CS「ミステリチャンネル」でも毎月イチオシ・ミステリーを紹介。
芸術家には閃(ひらめ)きが必要だ。作家であれ、音楽家であれ、ゲームのクリエーターであれ。芸術の神様はしかし、ときとして気まぐれだ。『クリムゾン・ルーム』は札幌を主要舞台に今まさにその神に見放されようとしている男の彷徨を描いた、いわば魂の再生譚である。酒におぼれ、カジノにはまり、落魄の道を歩む主人公はある日、彼を師と仰ぐ若き才能に出会うが……。
物語の創造の秘密に迫る芸術小説としての主題を据えながら、なおかつハードボイルドの芳醇な香りと犯罪サスペンスの暗翳をたたえたボーダーライン文学の妙。ゲームファンはその誕生秘話−のフェイクとしても楽しめるに違いない。
杉江松恋(すぎえ まっこい / ミステリ書評家)
1968年、東京都生まれ。書評家。連載誌に「問題小説」「週刊SPA!」など。『バトル・ロワイアルⅡ鎮魂歌』『同じ月を見ている』などノヴェライズも手がける。
近況は http://homepage3.nifty.com/sugiemckoy
人がいちばん恐れる場所は、心の中だ。創作が苦痛を伴うのは、それが自身の内面を覗きこむことなしに完了しない行為だからである。高木敏光は、その恐怖を“紅の部屋(クリムゾン・ルーム)”に託して描き出してみせた。本書の内容を、紙上に印刷された絵空事となめていてはいけない。主人公・高木の苦悩は読者にも伝染する。小説を読んでいるうちにあなたは、心の被膜が引き剥がされ、秘密にしておくべき深奥までも明らかにされていってしまうことに気づくはずだ。おそるべきソウル・ジャック、魂のサイバー・テロ。安閑としてはいられない。一刻も早く本書を読み終え、クリムゾン・ルームから脱出せよ。
中辻理夫(なかつじ りお / 文芸評論家)
1967年、北海道札幌市生まれ。法政大学文学部卒。2003年、結城昌治論「業と怒りと哀しみとー結城昌治の作品世界ー」で第10回創元推理評論賞受賞。以後、クライム・エンターテインメント作品を中心に雑誌や新聞での書評、文庫解説、作家インタビューなどを手掛けている。
主人公はとてつもなく疲れている。もうヘトヘトだ。かつては才気あふれるマルチメディア・クリエイターだった。まぎれもなく勝ち組だった。今も傍目からはそのように見られている。しかし実状は違うのだ。何ら創造的なアイデアが浮かんでこない。駄目になった、という自覚が彼を捨鉢な気分にさせる。過度の飲酒とギャンブルに惑溺する日々の繰り返しだ。自らすすんで破滅へ向かっている。
才能あるピュアな青年の作品を自分のものとして発表し、再起を試みる。しかし問題は何も解決しない。偽りの復活なのだから。彼の焦燥に拍車がかかり、心はさらに深い闇、泥沼へとはまり込んでいく。ダークな日常は裏社会と隣接する。にっちもさっちも行かなくなったとき、彼は創造者としてある境地に達するのだった。それは何か。倦怠に包まれた乾きの文体と暗黒の世界観が反転し、真っ赤に染まる瞬間を存分に体感して欲しい。